Chikuwaのつぶやき

クラシック音楽、言語、ドイツ、物理など、雑食性です

文法書「これならわかる ドイツ語文法」NHK出版

僕が使っていたドイツ語文法書をご紹介します。
www.amazon.co.jp

中学高校と文法と読むことに偏重し、使う(特に話す)練習が全然できていなかった英語の二の舞とならないよう、ドイツ語学習は、Rosetta Stoneや現地語学学校を軸に行なってきました。本で一つ一つ文法を学ぶのをメインに据えなかったのは良い選択だったと考えています。いわゆる「赤ちゃんが母語を習得するように」という外国語学習法です。しかし僕には、母語を習得する赤ちゃんとは大きく違う点がありました。そのうちの一つが

英語の文法の知識を持っている

ということです。品詞とか語順という概念もないままに習得できるのが赤ちゃんのすごいところであり驚異なのですが、大きくなった僕らには「既存の知識と結びつけて理解できる」というアドバンテージがあるのです。ドイツ語と英語に共通点が多いなら、既存の英語の知識を活かさない手はない、ということで、気になった時に参照できるドイツ語の文法書を手元に置いておくことにしました。
書店にはいくつか選択肢がありましたが、

  1. 新しい(2016年初版)
  2. デザインが見やすい
  3. 「はじめに」に書かれている著者の想いが響いた

などが気に入り、購入しました。使い方としては

  1. リーディング中、英語(あるいはフランス語)から連想しきれない文法や語形を調べる
  2. ライティング中、時制や語順に迷った際に調べる
  3. 語学学校で習った内容に相当する所を読み、知識の整理をする
  4. 読み物として読む。ドイツ語の特徴について、俯瞰的に知る(これが一番楽しい)

4点目の読み物としての面白さが、特におすすめできます。具体的な事項を逐一解説してくれることは文法書の大事な要素ですが、これだけだとどうしても無味乾燥になってしまいます。第0章「テクストと文」第22章「語順とテクストのまとまり」第23章「心的態度を表す語」あたりを、ドイツ語は日本語や英語と違ってこう表現するのか!とワクワクしながら読んでいました。外国語学習の醍醐味は、


「世界を見る新たな視点を手に入れる」

ことだと思います。「はじめに」で触れられているように、この文法書もそこを大事にして書かれています。

若干難点を挙げるとすれば、いくつかの文法解説で抽象化・一般化にこだわり過ぎて、最もよく使われる重要な基礎が見えにくくなっていることがあります。マイナーな例も含めて全部話そうとして、まず押さえるべきポイントと、中〜上級者用の内容の区別があまりない印象はあります。ただ、語学学校という助っ人がいた僕にとっては、この本で1から文法を学ぶ訳ではないので大きな問題ではありませんでした。