Chikuwaのつぶやき

クラシック音楽、言語、ドイツ、物理など、雑食性です

A1からB2まで1年間!ドイツ語学習経験談〔ロゼッタストーン、ゲーテ〕

ドイツ語をしっかり、しかし楽しみながら学びたいと考えている方へ。僕がA1からB2まで1年間で駆け抜けてきた経験をシェアしたいと思います。

ドイツ語学習の方法論については以下の記事が包括的です。独学でドイツ語をマスターしようと考えていらっしゃる場合、とても参考になると思います↓
www.ito-tomohide.com

この記事ではあくまで、数ある学習方法の中の一例として、僕が何をしてきたかお伝えします。ご参考になれば幸いです。

ー目次ー

基礎づくりーRosetta Stone

ドイツ語といえば"Guten Tag"と"Danke"くらいしか知らなかった僕は、ドイツでのインターンシップが決まったその日から学習開始。この時点までに英語とフランス語を学んだことがありましたが、、、



英語→小4から高校まで読む聴くに偏った授業。話す機会は大学入学まで無かった
フランス語→通算2年ほど独学+大学の二外。これまた「使う」機会がなくインプットに偏った結果、フランス語検定3級を持ちながら全く使える気がしない
 

ドイツ渡航まで4ヶ月。それまでに基礎は作りたい!とは思いながらも、文法書を買って練習問題を解き、初級単語を覚え、、、という方法をドイツ語でも繰り返すのは気が引け、ネットサーフィンを始めました。

そこで見つけたのがRosetta Stoneアメリカの企業が開発し、日本ではSourcenextが提供しています。僕が購入した時はセールをしていて、3000円くらいで発売していました。
www.sourcenext.com
こういう教材は山のようなDVDセットを買うイメージがありましたが、これはオンライン。パソコンでブラウザからログインします(iPadのアプリはiPhone用をただ引き伸ばしただけで見苦しかったです)。僕がこれを選んだ理由、そして最大の長所は



本は使わない。赤ちゃんが母語を習得するように、目・耳・口を使って学ぶ!

これがやってみると楽しいんですね。犬の写真が出てきて、"der Hund"という音を聴く。男の子の写真が出てきて、"der Junge"という音声が流れる。10くらいいろいろな単語を聞いた後、"der Hund"という音声に続いて複数写真が出てきて、正しいものを選ぶ。これを繰り返して視覚と聴覚が一致してきたら、今度はパソコンのマイクが起動。写真と単語の綴りが出てくるので、ネイティヴ音声に続いて単語を自ら発音する。なかなか音声判定がよくできていて、正しくはっきり発音しないとマルにならないんです。euはオイと読むのか、chはチじゃなくて喉をこすりながらのハなのか、など試行錯誤しながら何度も口を動かします。自室で一人でやっているので恥ずかしくもありません。

少しレベルが進むと、文になります。"Wir spielen Fußball im Garten"とかいう音声と、3人が庭でサッカーをしている写真が出てきます。"Wo ist der Bahnhof?"というセリフと、地図を持って困った顔をした人が出てきます。そしてここでも、目・耳で受け取る情報と、口の動きが連動するまで繰り返します。

研究もあったので結局渡航前にはコースの半分ほどしか終わりませんでしたが、Rosetta Stoneでドイツ語の”0から1”を学んだのは、とても効果があったと思います。後述するベルリンの語学学校でも、クラスメイトと比べアドバンテージがありました。具体的には

  • 単語を無意識に正しく発音できる
  • 文のイントネーションが感覚で分かる
  • 絵・写真や実物を見て日本語を介さずにドイツ語が思いつく
  • 基本的な文法が自然に感じる(助動詞があれば動詞は文末、規則動詞の過去分詞形など)

特に3点目は日常的なドイツ語会話(というか外国語全般)にとってとても有利です。会話すなわち瞬間ドイツ語作文をするために毎回「日本語で文を考える→ドイツ語に逐語訳して語順を整える」というプロセスを経ていては、追いつかないからです。もちろんロゼッタで学んだ文例は多くはありませんが、日常的な出来事に関するものばかりなので、単語を入れ替えるだけですぐ実際の場面に使える表現ばかりでした。("Auf Wiedersehen"など実際友達には言わないよな、、、という表現も含まれていましたが。)

ドイツで語学学校に通う前から、このような”ドイツ語脳”の回路を鍛えられたというのは、赤ちゃんが母語を習得するプロセスを模したロゼッタのプログラムの強さだったのだな、と実感しています。

渡航前に日本語の文法書があった方が良さそう、ということで本も一冊買いました。これについては以下の投稿でレビューしています。
文法書「これならわかる ドイツ語文法」NHK出版 - Chikuwaのつぶやき




ベルリンにて

その後ベルリンの語学学校で4ヶ月間みっちり授業を受けました。午前90分×2は基本コース、午後45分は話す力を鍛える実習コースでした。同じ語学学校でも先生によってかなり自分もクラスメイトのモチベーションも変わるので良し悪しは一概に言えませんが、僕のクラスは当たりでした。繰り返しが必要で単調になりがちな語学学習において、毎日活気あるクラスを導けていたのは、熱心な2人の先生の巧みの技だったと思います。

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ベルリンでの語学学校の様子。クラスメイトに盗撮されました

やはり語学学校は、プロが親身になって教えてくれ、クラスメイトとのアクティビティを通してたくさんの練習機会があるので、ドイツ語を使うことに関して抵抗がなくなります。間違えたら指摘してもらえますし、みんな間違えるので全然緊張しません。常にフィードバックを受けながらガンガンドイツ語を使っていくには、クラス形式であれマンツーマンであれ、語学学校が最適なチョイスでしょう。宿題も毎日、毎週金曜に小テストもあったので、結構忙しい日々でした。

日本では語学学校に通ったことがなく比較ができませんが、クラスに日本人が滅多にいない、というのも現地語学学校の利点かもしれません。日本語はもちろん、英語もあまり分からないクラスメイトが結構いるので、本当にドイツ語漬けになれます。

ドイツ語力に並んでもう一つ、語学学校で得た大切なものが、多様な人とのコネクションです。4ヶ月様々なケアをしてくださったホストファミリーとは、ステイ終了後にもベルリン旅行時に泊まりに行きましたし、今でも時折メールのやりとりをしています。そしてクラスメイトです。ドイツあるいはスイスで大学に通いたい、働きたいという夢を持って高校卒業後すぐに来ている人もいれば、母国で仕事をしていたのだけれど新たなキャリアの可能性を広げたい・スキルを身につけたいといって職を中断してドイツに長期滞在している人もいました。出身はブラジル・コロンビア・フランス・イタリア・スイス・インド・韓国とバラエティに富んでいますが、皆目標は同じ、「ドイツ語を身につけること」。授業後にベルリンの街へくり出す時も、お互い英語ではなくドイツ語で喋ろう!と決めてみたり、お互いの国について話あったり、、、今思い出しながら書いていて、しみじみ良い時間だったと思います。

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ベルリンから電車(S-Bahn)で1時間かからない、ポツダムにて。クラスメイトと

Goethe B2に向けて独学

語学学校を出た後は、ミュンヘンインターンシップを行い増田。ドイツ語クラスはありません(当たり前)。せっかくB2の始めまで授業で進んだのだから、このまま放置して忘れてしまってはもったいない、何かドイツ滞在中に成果を残したい、ということで、目標を立てました。

3ヶ月後のゲーテB2に合格する!

ゲーテというのはGoethe Instituteというドイツ語教育の最も権威ある語学学校が運営しているドイツ語語学能力検定試験で、CEFRの各レベルの試験が行なわれています。受験料はミュンヘンで240EURと決して安くありませんが、将来ドイツに長期滞在するにあたっても語学能力の証明として使えるのでやる価値はあると判断しました。
語学学校の先生にも相談し、購入したのが

  • Fit fürs Goethe-Zertifikat B2 (Hueber)
  • Mit Erfolg zum Goethe Zertifikat B2 Testbuch (Klett)

の2冊です。数回分の模擬試験が4技能全て入っています。試験概要や時間配分のコツも(ドイツ語で)解説されているので、試験形式を理解し慣れることができました。ただ、本を使った自習ではどうしても書く、話すの訓練ができないので困りました。スマホで時間を測り、録音して自分の発言を聞き直したり、Hellotalkでネイティヴに添削してもらったり。職場のドイツ人たちには家庭がありましたし、オフィスにいる間は仕事をしているので協力を仰ぐのは難しかったです。やはり歯応えがある試験なので精神的なプレッシャーはありました。言語を学ぶのが好きでも、時間的に追い詰められると辛さは多少あります。

そんなこんなで2020年1月末に受験。Goethe Instituteの本部だからか、試験結果は当日の夕方にもらえるということで、試験後も校内に待機。戦いを終えた他の見知らぬ受験生達と、たわいのない会話をしながら過ごし、合格証を19時頃にもらいました。
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振り返ってみると、大きかったのはRosetta Stoneと語学学校だったと思います。僕の言語好きを加速させた大立役者です。