Chikuwaのつぶやき

クラシック音楽、言語、ドイツ、物理など、雑食性です

震災メモリアル公園 宮城県名取市

梅雨の時期の日照時間が極端に短い仙台が久しぶりに晴れたので、今日は自転車で少し遠出してきました。行き先は名取市閖上(ゆりあげ)にある「ゆりあげ港朝市」と、その隣の建物に入っている海鮮丼屋さんです。

閖上

宮城県名取市の海岸沿いの地区で、2011年の東日本大震災では海岸線から5キロ内陸まで津波の被害に遭いました。海岸沿いに新しく造られた堤防には、市内で900名以上の命に牙をむいたとは思えない、静かな波音が響いていました。

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名取市閖上の海

ゆりあげ港朝市 メイプル館

メイプル館は、震災後にカナダ政府からの温かい支援を受け、常設の土産売り場およびフードコートとしてオープンしました。2015年頃から何度か訪れているのですが、その度に新たな出し物が現れ、お客さんが増え、朝市の方も賑わってきているような印象を受けます。このメイプル館や隣の市場で購入したものは、潮風の心地よい外のベンチで食べる事ができます。
公式HP↓
メイプル館について | ゆりあげ港朝市

震災メモリアル公園

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震災メモリアル公園 見取り図

前回メイプル館を訪れた際には、駐車場は砂利のままで、震災に関する展示は仮説のプレハブで行われていたのですが、今回行ってみたら周辺一帯が震災メモリアル公園として整備されていました。2019年5月に完成したそうです。上の図の道路をまたいだ左側に、ゆりあげ港朝市があります。

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震災メモリアル公園の慰霊碑とモニュメント。モニュメントの高さは、この地点での3.11の津波の高さ(約8m)だそうです。

犠牲者の慰霊碑とモニュメントの前で思いに耽っていたとき、近所にお住まいだというおじさんに声をかけられ、そこからかれこれ1時間半くらいその場で色々なお話を聞く事ができました。津波で職場の方が行方不明になったこと、その方を捜すため遺体安置所に通われたこと、お葬式をするためのお寺も流されていたため、自力で公民館を借り、人のつてに助けられながらお別れ会を行ったこと、...
まだまだ新しくきれいな慰霊碑を指しながら「そう、何丁目の〇〇さんだよ」とお話される様子に、2011年が決して遠い昔の話ではないことを思い知らされました。

この公園よりも海岸寄り、中洲のような部分にはリーズナブルな宿泊施設が建設中で、今年10月にオープンするそうです。以前にも宿泊施設はあったのですが震災で流され、9年越しで再開となります。驚くべきことに、今回の建設にあたって新たに温泉が発掘され、

  1. 天然温泉に入れる
  2. 海の幸
  3. 震災メモリアル公園
  4. 駐車場完備
  5. 1泊2食付き6,500円(予定)

というパッケージ、宮城観光にはうってつけな施設となりそうです。

周辺の住宅地

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津波で一度更地になってしまった閖上には、被害から5年以上経ってようやく被災者のための住宅施設や学校の新校舎ができたそうです。震災当時の閖上中学校は津波に飲まれ、生徒14名も犠牲となりました。2014年に内部を見学する機会があり、教室および屋上を訪れたのですが、校舎の2階まで泥水の跡が残っていたことと、屋上から見渡せる辺り一面が”平ら”になっていることに衝撃を受けました。今回の自転車旅では、2018年度に新たに開校したという閖上小中学校(小中一貫校)の校舎も見ることができました。校舎だけではなく、その周辺の住宅や店舗がどれを見ても新しく、全て流されてしまった後の白いキャンバスに、一から絵を描いているという印象がありました。上の写真は新たに造られた道路なのですが、仙台市街では滅多に見かけない自転車専用レーンに十分な幅が割かれています。隣の田んぼと比較して、住宅や店舗の並ぶ通りは5〜8mほど盛り土がなされていました。

仙台市中心部からは車で30分ほど、自転車では1時間半ほどで着きました。震災の跡地を訪問するのに行きやすい場所だと思いますし、悲しい過去を振り返るだけでなく、これから町を盛り上げていく活気を感じ、美味しい海鮮に舌鼓を打つためのスポットとしてもオススメできます。一度訪れてみてはいかがでしょうか?